50年後、100年後を俯瞰して

まずは、以下の毎日の記事を読んでいただきたい。ジャック・アタリ氏はかなりデキル人だと。経歴をみれば、当然か。

■来日中のフランスの経済学者ジャック・アタリ氏が13日、東京都内で記者会見し、福島第1原発事故を受けた「脱原発」論議について、「問題は原子力エネルギーそのものではなく、その管理だ」と述べた。「原子力の安全において、日本は世界全体に責任を負っている」とも指摘した。

 アタリ氏は現在日本の抱える問題について、(1)透明性の欠如がもたらす国への不信(2)人口の減少(3)福島原発事故−−の3点を挙げ、原発事故について、問題は「津波対策の不足とその後の情報開示のあり方」であり、「事故と脱原発の議論を結びつけるのはおかしい」と述べた。

 人口減少は、政権が長期ビジョンを持ってこなかった結果であると指摘。また、日本が経済的困難を乗り切るためにはIT分野などでの技術革新が重要で、財政危機回避には増税も必要との認識を示した。

 一方、ギリシャなど欧州の債務問題については、「ギリシャの債務不履行が欧州の銀行の資金不足につながり、仏独などがユーロ圏を脱退するのが最悪のシナリオ」と述べたうえで、「そのコストの方が、ユーロ強化のコストより大きいため、そうはならないだろう」と推測した。また、円高是正については、主要国間での議論の場を多く持つべきだと語った。

 

全体にたいへん的を得た回答に感じました。

とくに「脱原発論」にたいしての回答としては、賛成できる点があります。原発推進派のフランスの方ですので、100%ではないにしても。

「問題は原子力エネルギーそのものではなく、その管理だ」との指摘。人類は過去にも、大きなエネルギーの転換を何度か余儀なくされてきた。石炭から、石油、天然ガス、電気そして地熱、風力、太陽光へと。おそらくその度に、賛成反対、大なり小なり様々な論議を呼んだうえで現在がある。

新たな原子炉さえ造らなければ、あと40年ほどで、すべての原子炉は停止すると聞きました。でも、現在、すぐにやめることが不可能としたら、危険性には十分配慮しながら付き合っていかねば、世界は成り立たないのでしょう。 「事故と脱原発の議論を結びつけるのはおかしい」というのは、達見に感じます。論点が混乱し、整理がついていないと私も思います。

原子力については、人類の英知が、その危険性を乗り越えて、あと何十年のうちに安全安心に操ることができるようになることを願いたい。あんなことで悩んでいた時代があったんだと、未来の人類が歴史の教科書で学ぶ時代が来ることを願ってやみません。

■ジャック・アタリ

ジャック・アタリ
人物情報
誕生 1943年11月1日(67歳)
フランスの旗アルジェリアアルジェ
国籍 フランスの旗 フランス
学問
研究分野 経済学
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ジャック・アタリ: Jacques Attali, 1943年11月1日 – )は、フランス経済学者思想家作家アルジェリアの首都アルジェ出身のユダヤ系フランス人パリ政治学院卒業。経済学国家博士。初代欧州復興開発銀行総裁フランソワ・ミッテランの側近中の側近で81年から91年まで大統領補佐官。91年から93年まで初代欧州復興開発銀行総裁。指揮者としてオーケストラを指揮したこともある。

著書『時間の歴史』は引用と示さずに他者の著作そのままを写した部分が指摘され、剽窃問題を起こした[1]