奈良オペラ紀行 2

早朝に目覚める。

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奈良ホテルは小高い丘の上に位置するためか、とても静か。雨も上がっている。
同室のT氏と奈良町あたりを目指して歩き出す。

頬をなでる風が冷たくて気持ちがいい。
前日、みんなで通った奈良町の町屋街をご案内する。春鹿の酒蔵までゆっくりと1kmほど歩く感じで、ホテルに戻り朝食。

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メインダイニングの「三笠」にて奈良ホテル名物の茶粥をいただいた。

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もともと僧侶が食べていたという茶粥。ほうじ茶でおかゆを炊いたもの。あっさりしていていて、どんどん入る感じ。

改めてホテル内を散策。時間が止まったような重厚な装飾が施されし廊下に、たくさんの写真が飾られていた。皇室の方々のお写真に混ざって、映画「ローマの休日」で有名な女優オードリー・ヘップバーンのお姿が。

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他にも、チャップリンやヘレンケラーなど、たくさんのVIPな方々がここを訪れています。応接してに置いてあるアップライトのピアノの横にある写真に説明があり。

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読んでみると、弾いている後ろ姿のご老人が、「相対性理論」で有名なアインシュタイン博士だったりとその長い歴史と風格をしっかりと確認させていただきました。

お昼に、昨夜のオペラで主演を務めておられた田浩江(ティアン)氏ご夫妻と、カラヤン氏が来日した際、秘書役をお勤めされておられたMさんがお越しになる。

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同じく「三笠」で昼食が始まった。ベストビューのテーブル。

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奈良漬けとチーズを組み合わせた前菜から始まり、スープ、サラダ、スズキのポワレ、お肉、デザートまで。どれも美味しい。

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英語で交わされる会話を懸命に耳で追いかける。毛沢東による文化大革命以後、仏教への国からの援助がなくなった現在の中国での仏教の位置など、お話を伺った。政治的な絡みから、宗教への中国での立ち位置は微妙なようだ。

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普段はNYに在住の田浩江氏の世界的なご活躍の様子をお聴きするに、そのスケールと世界観に驚くばかり。オペラを通じて世界に平和のメッセージを伝えていきたいという生きる姿勢に加え、お話に出てくる固有名詞がすごい。ドミンゴ、カレーラス、小澤征爾などなど。身にあまる贅沢な時間を共有させていただきました。

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私たちのような一般人にもオープンで、笑顔で気軽に話しかけて下さるご夫妻のフランクさが世界で通用するコミュニケーションの術。見習いたいと思いました。

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チェックアウトする前、ロビーのあたりでは次々に純白のウエディングドレスに身を包んだ花嫁の撮影が行われていて、その華やかな雰囲気に改めてこのホテルの素晴らしさを感じる。

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スタッフの方々のサービスの質の高さは、日本を代表するホテルで伝統を守り続けている自信と誇りを感じました。

H川さんをご案内して東大寺の大仏殿境内を散策。

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鹿たちの優しげな眼差しに癒されます。なかには馴れ馴れしすぎる奴もいるけれど、それもご愛嬌。

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改装中の大仏殿で中学生の頃を思い出しつつ、不動明王や大仏さまと再会させていただいた。

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中国語が飛び交う境内を後に、奈良町へ戻り町屋カフェ「樫舎(かしや)」で善哉をいただきました。かなりこだわったその上品な味。

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大納言小豆を10日ほど水で戻し、一晩かけて炊かれた小豆は大粒でふくよか。白玉も、抹茶や焙じ茶と色鮮やか。

奈良公園あたりは別としても、京都ほど観光客が溢れておらず、たおやかさを残す奈良の町が好きになりました。また、訪れたいと思います。

貴重な機会を与えていただいたH川さま、Tさま、M田さまに感謝しています。

いつも、お読みいただき感謝しています。