自分の身の処し方

朝のTVを見るともなしに見ていたら、釘づけになった。

みのもんたさんの番組「朝ズバ」で特集が組まれていた介護老人保健施設がすごかった。

「老化」とか「老後」とか「死」とかまともに、向き合い考えたい人はいないと思う。しかし、確実に刻一刻と時間は過ぎ、ろうそくがジリジリと音をたてて燃え続けるがごとくに終焉に向けて我々はすすむ。誰一人としてそれから逃れ得る人はいない。自分がご老人と呼ばれるようになったときの不安を、心の奥底に抱えていない人いないだろう。

この埼玉の春日部市にある「しょうわ」という施設は、我々の抱くその不安を軽くし、勇気を与えてくれる。これはひとつの答えだと思う。

簡単に書くと、そこは「パラダイス」かもしれない。

その施設ではダブーがない。ここに来たご老人たちは、体育館のような広い施設内で、体の健康状態に関係なく煙草を吸い、習い事やお稽古にいそしみたい人にはそれを教えてくれ、やりたいスポーツや麻雀やカラオケなどなんでもできるし、基本的にどう生きて死にたいかを最優先に考えてくれる。

働いている職員の子供を預かる託児所もあり、広いフロアでは、子供と老人、そして介護犬が走り回っています。庭ではヤギやニワトリなどもたくさんいて、それらの世話をすることで、痴呆の治療に役立っているそうです。

まさに天国に近い。見ていてそう感じました。

もちろん、医師の指導の下、法に基づき、しっかりと管理はされている。が、施設の職員がおこなう介護には、他所にはない理念に基づいている。

薬漬けで、長生きするより、やりたいことをして、楽しく早く死なせてくれるわけである。結果として、痴呆を改善し、家族や周りに迷惑をかけず、家で死を迎え、幸せに旅立つことができる。

「在宅介護支援」を理念として掲げ、「家で死ぬ」という尊厳をもった介護を理想とする。詳しくは下のURLにアクセスしていただきたい。

http://www.showa.or.jp/

この施設に来ておられる老人はほとんど自宅に帰り、また迎えに来てもらい施設に戻ってくる。基本的にデイサービスなので昼間の決まった時間帯だけ介護保険の点数によって施設を利用できる。このあたりの介護保険の仕組みは、書くとたいへん長くなるし、理解するのに時間を要する。若い人には理解してもらうのは無理だろう。身近にそういう人がいて始めて理解できる。

私は自分の母の介護の際、介護保険で要介護2であった母を週に2回から3回、そういった老人介護施設に預かっていただいていた経験がある。たいへん助かった。四六時中、母だけを見ているなんて、仕事を持っている私には到底無理だから.施設でお風呂に入れてくれ、お昼ご飯を食べさせていただき、決まったメニューでお遊戯やお友達と好きなことをさせてもらって送迎車で自宅まで送り届けてもらえるのである。

そのように似た施設は全国に無数にあるんだけど、この「しょうわ」はちがう。すごいのである。とにかく、入れるものなら、私の老後はここに入りたいと思った。番組の中でも、このような仕組みづくりや理念の施設が増えることを願うというコメントが、出演している人からどんどん出されていましたし、おそらく、番組終了後、視聴者より問い合わせが殺到したにちがいない。

アルツハイマーのあるおじいさんは自分がオリンピックで金メダルを獲った英雄であると思い込んでいて、ことあるごとに人に自慢する。勿論そんな事実はないのだが、職員は毎回その話を聞き、話をあわせてくれる。一切否定はしない。

いっしょに暮らしていた愛犬の死をきっかけに、徘徊老人となり、毎日近所の人に迷惑をかけていたご夫人に、その施設は大きな犬のぬいぐるみを渡した。そうして「そのぬいぐるみの世話をしてください」とご夫人になすべき仕事を与えたのである。それから、そのご夫人は徘徊をしなくなった。

そんな奇跡ような出来事がたくさん起こっている。

その映像の中では、みんな老人が笑顔なのだ。ある老人がフォークを使い、口から食べ物をうまく食べられないでテーブルにこぼしていても一切助けないし、介助もしない。のたうちながらも、自分で食べるという行為をどんなことをしても自分で行い、食べたいという気持ちを最優先に考えてくれる。そうすることで認知症(アルツハイマー)にも改善が見られるそうだ。

みんな、老後に不安なく楽しく平和に自分のしたいことをして死にたいと思いませんか?こんな施設があるんだとうれしくなった。このようなところがもっと増えて欲しい。いや、絶対増やすべきです。

ぜひ、「しょうわ」のHPをぜひご覧になってみてくださいね。