直接、触れること

資生堂の新しいシャンプーのCMをみていて、うまいなあ。世の中の気分やニーズ、うまく捉えているなと。ヘアメイクはもちろんのこと、キャスティングもカメラマンのセンスやナレーションの声のトーン。参ったな。

マグロの値が高騰、豊漁のブリは半値。世の中は常に需要と供給のバランスで動く。

お出かけやパーティー、忘年会はやはり需要を促し、楽しい時間を求め、人は新しいパッケージを求められる。

知らないブティックやインテリアショップで、一瞬であなたの感性を刺激し、惹きつけるデザインがあなたにピッタリと似合うのか否かは、客観的な判断、向き不向きの判別が結果的に必要だ。最新のヘアスタイルが、顔や骨格や髪質や、生え方の違うあなたに似合うとは限らない。

そしてそもそも、何を欲しているのか。和食であっさりの気分なのか、中華や焼き肉でがっつりの気分か。モダンで味わったことのない新たなイタリアンのヌーベルクイジーヌか、舌が焦げるほどのスパイシーなインド料理か。

極上の大間の黒マグロでハンバーグはもったいないし、昨今、生肉で寿司は難しいし、素材にピッタリしたレシピを捜すプロの経験や創作熱意に期待していただくほうが、答えははやい場合が多い。

ただ味付けの細かな好みやテイストは、ハッキリと。

鮨屋のカウンターの正面から、手元をつぶさにみられながら仕事をする寿司職人。たいへんだと、件の鮨屋に行って実感する。

仕込みの効いた蛤を、サイズにピッタリ合わせて、姿にする。

あぶったクエの脂ののったネタをバラける手前でまとめる。

その技にプラスして、髪や肌に触れ、お話をせねばならぬ我々の仕事のプレッシャーも相当なものではあるが…。