クロアッサンで朝食を

「靴を脱いで家に上がる」は、ヨーロッパにもあるのだ・・。

 

 

 

 

 

 

80歳を優に超えたジャンヌ・モローが、自前のシャネルを着て、わがままでスノッブなマダム・フリーダを演じる映画「クロワッサンで朝食を」を鑑賞しました。シネマ部、F田さんの担当作品。原題は「パリのエストニア人」。

 

  

観終わった直後、「最高のふたり」、あるいは「小説家を見つけたら」、はたまた「セイント オブ ウーマン」などの作品が頭に浮かびました。年齢差のあるふたりが、はじめは敵対するが、最後にはこころ通じ合わせていくという展開。ですが、長編映画初監督となるエストニアの俊英イルマル・ラーグが、母親の実話をもとに描く映像は、一味ちがう深いものを感じさせます。

 

 

 

 

 

ソ連がエストニアに侵攻した時代、合唱団の一員としてパリにやってきたフリーダ。たくさんの男と浮名を流し、現在は瀟洒なパリの高級アパルトマンに独り暮らし、何人もの家政婦を泣かせて、辞めさせてきたプライドの高い女性。仲間のエストニア人からも嫌われ、彼女の心を支えるものは、かつての若き恋人・ステファンだけ。しかし、そのステファンの心も既に自分から離れている。

 

 

そこへ、年老いた母を看とったあと、ひとりエストニアから憧れていたパリに家政婦としてやってきたライネ・マギ演じるアンヌ。靴を脱いで家に上がろうとしたり、スーパーで潰れたクロワッサンを買ってきたりするアンヌを、はじめは撥ねつけるフリーダ。

 

年老いて、プライドだけを支えに生きるフリーダは、いつしか懸命にパリで生き抜こうとするアンヌの姿に、かつての自分を映しだす。次第に心を開いていくフリーダでしたが、ある事件が・・。

 

 

 

フランスを代表する大女優、ジャンヌモローの辛辣な演技は、なかなか板についていて、私生活を想像してしまいました。

歳を重ねることへの不安と、プライドの裏に隠された望郷の念。最後に放つフリーダのひと言は、含蓄あり。

 

 

自由恋愛の国、フランスならではの、お洒落で、大人な男女の関係。朝や夜のパリの美しい街並み。

薄倖な女性、アンヌがフリーダのアドバイスで、磨かれていくプロセスなど見どころがたくさんあります。

私見として、金髪のアップスタイルとトレンチコートの組み合わせのCOOLさは、かっこいいなと。

物語は、淡々と静かに進みますが、若い俳優さんには、決してまねできないジャンヌ・モローの演技をぜひ。

 

http://youtu.be/tZ0K42OTYtQ(予告編)

 

 

http://youtu.be/upO75002b9k(若き日のジャンヌモロー・死刑台のエレベーター、美しい!)

 

 

ちなみにエストニアは、デンマーク、スウェーデン、ロシア、ドイツなど周辺諸国からの侵略に耐えてきた歴史があり、バルト三国のなかでは最も経済的に良好。EUに加盟し、通貨はユーロ。独特の食文化、世界遺産も有する美しい国です。

 

 

 

食事会では、若き日のジャンヌ・モローの話しや、パリの生活、大人の恋愛などの話題で盛り上がりました。

 

 

 

担当のFさま、お洒落で、含蓄のある作品を、ありがとうございました。