は世はリバイバルブーム。幼いころに夢中で追いかけたヒーローたちが、スクリーンに続々甦っています。
チケットを賜り、向かった先は、西宮ガーデンズ東宝シネマ。映画「ガッチャマン」を鑑賞しました。
選らばれし5人のヒーローが、悪と戦い人類の平和を守るという不滅のストーリーに関しては、言及する必要もなく。
ただ、実際に人間が演技をする実写映画化であることが、難しさを生む。
どの年齢層をターゲットに絞り込むのか。「ガッチャマン」の場合、40〜60歳の大人が中心となるのは間違いないところ。
それゆえ、設定やストーリーをアレンジせざるを得ない。ストーリーをこねくり回して、ややこしくしてしまう。何か新たなメッセージを込めたくなってしまう。
結果、さまざまな場面に破たんが生じるのだ。
当時のファンは、当然アニメでみた、ヒーローの姿を追い求める。勧善懲悪で、何ものにも臆することなく、正義のためにその身を捧げる存在。生身の人間が、抱えるような悩み、特に恋の悩みなどとは無縁で、迷いなど微塵もない存在…だったはずだ。いつから、等身大の人間と同じく悩みに苛まれるようなことになったのか。
あの輝いていた姿はなく、お金のかかったCGで描き出された見事な映像が、むなしくスクリーンに映し出されるのみ。そのヒーローと共に闘うことに喜びを見出したはずの自身の姿は、そこにはいないのだ。
劇中、ひとつだけ。光輝いていたのは、イリヤ役の中村獅童。
さすがに、歌舞伎の世界で幼いころから演技を叩きこまれてきたその演技は、他の俳優陣の中でひときわ異彩を放っていた。歩き方や立ち振る舞い。顔の表情に至るまで、凄いとだけ申し伝えたい。
ヒーローは 遠くありて 想うもの