クライマックスの描き方

最近のCMで1番気に入っているのは、リクルートの結婚情報誌、「ゼクシー」である。

うまい!と思わず膝を打ってしまう。ちょっと、表現が古いな。
「ある、ある」とつぶやいてしまうと書き換えよう。

 

 

流行のカジュアルな服、甘いマスクのイケメンな男の子(パーマで長髪)が、本屋のレジに並ぶ。手に持った本(ゼクシー)を見つけて彼女がびっくりして「あれ、あれ?!」とまわりをウロウロ。照れ笑いの彼。その後、二人で手をつなぎ帰る後姿。そして、最後はウエディングドレス姿の女の子の笑顔のどアップで終わる。

 

 

  

 

 

うまい!クライマックスの見せ方が。

結婚への憧れを一気に促す。この時期、4・5月にあれを見て秋に挙式というカップルが全国的に増えるだろう。
幸せを通り越して勝ち誇ったような最後の笑顔といい、横に立っている新郎の顔は映さない点といい、よくできてるなー。

この雑誌「ゼクシー」を購入する層は20代の女性だろう。
リサーチを重ね、1番結婚へのプロセスで難しいプロポーズの導き方をこのCMはイメージさせる。
恋愛の最初のほうは女性に主導権がある気がするけど、「結婚」の2文字を男の口から導き出させるのは至難の技ですから。
まして、二人は結婚という人生の重い契約書を生まれて初めて交すわけで・・。

 

 

問題はそれ以前のリビドーの時期の省略。つまり、過去に喧嘩して別れる寸前までいってたり、両親に交際を反対されたり、この2枚目彼氏が浮気性で、二股かけられたり、働かずパチンコ、競馬とギャンブル三昧。あげくにサラ金で多重債務者となっていたかもしれないんである。1番しんどい時期は見事にパスしてある。

雑誌やTVのCMは欲望喚起装置であるからして仕方ないんだけどね。
ほんとに多いね、最後のよい一瞬だけを見せるやつ。

これはある意味、危険だと思う。プロセスが大切なのだ、本当は。

 

 

適齢期を迎えてる女の子はこれをみて一気にヒートアップ。無理やり本屋でデートするんじゃない。本屋は、のきなみ閉店のところが多いそうだから、本屋救済にひと役買ったらいいけどね。

私がCM製作者なら別ヴァーションで、最後の引きの場面でまったく別の男性が新郎ってやつを作りたい。ムチャまじめそうなリーマン風の男か金持ちのチョイワルなオヤジ・ヴァージョン。

もち、笑いでリアクションを取りたいってことで。

 

 

えっ、そんなやつ見たくない?!

そうだった。現実から遠い、遠い幻をいかにリアルに魅せるかでした?!

出演者は 森絵梨佳さんと渡部豪太くん。爽やかです。
以下 CMの動画

■http://jp.youtube.com/watch?v=3_S9Q54DdrY