フランスの「がばいばあちゃん」

ゲストのI垣さまにお借りしたDVD、「ベルヴィル・ランデブー」を観てしばし考え込んだ。とてもユニークな画風、哲学的なアニメだったから。


 戦後間もないフランス。内気で孤独な孫のシャンピオンを元気づけようとおばあちゃんはいろいろな物を買い与えたが、シャンピオンはどれにも興味を示そうとしなかった。そんなある日、おばあちゃんはシャンピオンが自転車に強い興味を抱いていることを知る。やがて、シャンピオンは一流の自転車選手になるため、おばあちゃんと二人三脚で厳しいトレーニングに励むようになり、そしてついに自転車レースの頂点“ツール・ド・フランス”に出場するまでに成長した。ところがレースの途中、シャンピオンは何者かによって誘拐されてしまう…。孫の行方を追うおばあちゃんは、愛犬のブルーノを連れ、海を越えてはるばる摩天楼そびえる大都会“ベルヴィル”までやって来る。 “

どう考えても、子供には受けないだろう。
前編を流れるジャジーな音楽、1度観たら忘れがたい、デフォルメされた奇抜でシュールなキャラクター造形、CGを使っているが、違和感を感じさせないアナログ感覚とどれを取っても素晴らしいフレンチアニメの快作に仕上がっています。

こんなおばあさんがいてくれたら、どんなに心強いだろう。島田洋八の「がばいばあちゃん」を思い出した。強くて頼りになるんですよー。

手榴弾で沼からカエルを取り食べる三姉妹、デフォルメされた自由の女神や、肥満の人々、ネズミ男などを見ると、資本主義社会を享受するアメリカへの風刺に見えてくる。おりしも、フランス大統領が改選されたばかり。フランスもアメリカ化されていくと報じられているしね。

イギリスでアニメのキャリアをスタートさせたフランス人アニメーター、シルヴァン・ショメの長編デビュー作。
アカデミー賞長編アニメ部門にノミネートされたほか、NYやLAの批評家協会賞を受賞するなど2003年の映画賞レースを席巻したそう。

夜、みんなとパーティでもした後に、静かに観てみて下さいね。

お貸しくださったI垣様は、K学院大の数学の先生でもあり、カメラマンでもあり、自転車(ロッキィマウンテン)の愛好家でもある多才で、パワーあふれる方。見習わないとなー。