この時期になると、カップ麺の宣伝は「うどん」と「蕎麦」。クリスマスあたりになると寒波がやってきて身も心も冷え込むせいか。
某大手メーカーは、本格的出汁のきいた日本の味を強調するが、実際のところ昔みたいに作った出汁を煮詰めて粉末状にしているわけでない。
いまは醤油の味さえ薬品の合成で簡単に作れる。舌に乗った際に、人間が味覚の中枢からどんな信号を得て、どう感じるかまで分析ができているということなのだ。ほとんどの味覚は化学合成で作り出せる時代なのである。怖い。
だから故に、かつお節や昆布、ウルメイワシや干し椎茸などで、キチンと出汁をとって、酒、味醂、醤油で味付けしてくれているうどん屋さんや蕎麦屋さんはほんとうに貴重だ。
やすらぎ、香り、そして爽やかな後味。それらを兼ね備えた出汁に出会うとホッとするのだ。日本人のしあわせのひとつだと確信をもっていえる。