黄昏流星群

松葉づえを2本から、1本に減らした。かなり回復してきたということです。もちろん、右足に全体重を乗せるとよろけるわけで。でも先が見えてきました。

 

最近、漫画をほとんど読まなくなりました。

一時期は、たくさん読んでいたなあ。それこそ一日中とか。まあ、それだけ集中できたということかもしれません。

小説にはまって、ひとりの作家の全作品を読み漁ったり、映画でも、同じジャンルや監督作品ばかりを見続けたりしました。寝る間を惜しんで、推理小説の1Pを、心ときめかせてめくったものです。

そんな私を夢中にさせた作家のひとりに弘兼憲史さんがいます。

代表作「島耕作」は、いまでも全巻持っていますし、最近の作品「黄昏流星群」も愛読しています。

漫画といっても、弘兼さんの作品は、小説や劇画のように、根底にヒュウマニズムが流れています。手塚先生の漫画の根本も、ヒュウマニティ。ただ単に、おもしろいとか、かっこいいとか、痛快とか、勧善懲悪とかいう主旨でなかった。もっと深いところにテーマを置かれていたように思うのです。

弘兼さんは、漫画は子供の読む物という、常識をくつがえした青年マンガのジャンルを、世に確立した作家のひとりだと思います。

黄昏流星群」は、中年どころか老人の赤裸々な恋愛、性を様々な形で描いた短編を集めた連作集です。五十、六十歳が寿命だった時代からすれば、30年近く伸びた。その期間、ただ老いて、朽ちていくのでなく、いかに楽しく、元気な時間を過ごすかは、我々の永遠のテーマになりつつありますね。幾つになっても恋がしたい。そう願うことは、医学的にも、がん細胞をやってけるNK細胞(ナチュラル・キラー細胞)を増やす働きがあるそうですし。

ひとりふさぎこむ老後はまっぴら、恋愛に限らず、老人こそ「気にするな」と明るく楽しく生きればよいのでは。

心の底から好きで、一度はやってみたいと思っていたことに挑む。

失敗しても「それがどうした」笑い飛ばしていきたいものです。