目の前にチャンスが、ぶらさがっていても手を出して、しっかりと つかめる人はそう多くいない。
チャンス自体に気づかないことも多いし、手を伸ばす段階でこころに「恐れ」が生じる。
しくじったときのリスクを考えて、自ら抑制をかけてしまう。そのあたり、みなさん、一度はご経験ありかと。
そのリスクと怖れを跳ね除けて、チャンスをつかんだ青年がいます。
まずはご覧ください。
自分が長年憧れていたビリージョエル。
おそらく、何度も何度も練習を重ねたに違いない。
ビリーが開けた楽譜にも、一切、眼をやることなく、一心に鍵盤を叩くその姿にこころ動かされない人いないだろう。
最後では、アドリブをいれてビリーの反応を伺う余裕さえ・・。
ビリージョエルも、粋な計らいをしてくれる。ピアノの傍まで、サングラスを取りに行った時には、演奏を止めるんじゃないかと・・。
そのあと、本気で唄いあげ、青年に名前を聞いて、褒めたたえる姿に感動。
マイケルには、最高の思い出になるに違いない。
ビリージョエルという人自体、初期にはたいへんな苦労をされている。いじめを受けた幼年期。ユダヤ人の家庭に育ち、14歳の時に初めてバンドに加入。高校を中退。
ミュージシャンとして、故郷のロングアイランドを拠点に活躍していたハッスルズのメンバーとして活動した後、彼と共にグループ内で活動していたドラマーのジョン・スモールとのユニット、アッティラを結成して2枚のアルバムを発表。しかし、アッティラは鳴かず飛ばずのままで結局解散してしまう。当時ジョエルは鬱病に悩まされており、極度の神経衰弱から精神病院に入院している。妻とともに、NYを離れロサンゼルスに。
1973年に「ピアノマン」を出し、1977年に「ストレンジャー」を出してスターダムに上がるまで、下積みを重ねてきた。世界で、アルバムセールス、1億枚以上のビリージョエルでさえも。
ソロデビューのアルバムが鳴かず飛ばず、最初の妻(当時のマネージャー)とともにロサンゼルスに引っ越したころに、ニューヨークを想い作った曲が、この「New York State Of Mind」。
歌詞をご覧いただきたいです。
New York State Of Mind
まとまった休みには
都会から離れて どこかへ行きたがる人が多い
マイアミビーチや
ハリウッドへ飛んだりして
けれど俺はハドソン川沿いを走る
グレイハウンドバスに乗っている
ニューヨークへの想いで
いっぱいだよ…
高そうな車やリムジンに乗った
多くの映画スターも見てきたし
常緑樹に満ちた
ロッキー山脈にも行った
でも自分が何を望んでいるか分かっている
これ以上時間を無駄にはしたくない
ニューヨークへの想いで
いっぱいだよ…
リズム&ブルースなど微塵もなく
日々を過ごすのは気ままだった
けれど今は ほんのわずかでも触れ合いがほしい
ニューヨーク・タイムズ、デイリー・ニュース…
結局それは たわいもない日常の出来事だけれど
俺には恋しい
チャイナタウンでも
川沿いでも構わないよ
別に理由なんて無いさ
ニューヨークの暮らしを 追いやってしまっていた…
俺の心はニューヨークへの想いで
いっぱいだよ
ハドソン川沿いを走る
グレイハウンドバスに乗るだけでもいい
何故かって?
俺の心はニューヨークへの想いで
いっぱいだから…
(日本語訳:東エミ)
本気だと、これまたすごいけれど・・ね。
しかし、ビリー。その胴回り、貫禄出過ぎだなぁ。