この年齢になると、そうそう、うれしいことは続くものではない。
それなりの経験をして、自分なりの価値観で物事を分析してしまうし、少々のことでは驚かないのだから、当然といえば当然。
子供のころは、幸せも、不幸も、喜びも、悲しみも、そのほとんどが周りの人、つまり両親や親戚や友人や先生からもたらされた。「今度、映画に連れってあげるよ」で、有頂天になり、「明日までに、このプリントの宿題をやっておくように」でブルーになる。経済的なもの、すべてを両親に依存し、問題を起こさず、勉強して良い子でいることが、ルーティンだったあのころ。
それなりに、心配ごとはあっても、お気楽で平和な日々だったな。いま思えば・・。
大人になってしまうと、自ら計画し、自分で作り出さねば、早々楽しいことなど起こらない。それも、贅沢になって、少々のことではうれしくないのだ。ほんとうに困った奴。
バリへ旅して、新たな目標ができ、新しい人脈とも知り合えて、実現の可能性が微かに見えてきた。そして、日本に帰ってきて、旧友たちの元気な姿に、勇気をいただいた。うれしくなる。ありがとう。長らく生きていると、たまにはいいことがあるものだ。
帰国後、すぐの日曜日、営業が終わり、片づけを終え、みんなで終礼をして、しばらくすると急にあたりが暗くなる。あれっと思う間もなく、ロウソクの暖かな光。
忙しくて、先延ばしになりましたと、ディレクターの佐竹。誕生日のケーキをスタッフの西田さんが持ってきてくれて、みんなでHAPPY BIRTHDAYの唄を歌ってくれた。いい歳のおじさんの心に、ジンとした何かが舞い降りた。サプライズとは、突然であるから、なおのこと、うれしさが増す。「キレイゴトを・・」といわれてもかまわない。
こんな世知辛い世の中になったけれど、もっと、この子たちが夢を持てるように、この笑顔が続くようにと、「もうひとがんばり」と心の中で誓った。