ビリビリときた

馴染みのお鮨屋がお休みであったので、前から気になっていたお鮨屋に電話で予約。

そこは、まさに異空間であった。

L字に作られた檜の柾目のカウンター。無音(音楽なし)。木製のネタ箱から、茶碗、調度品一品、一品にご主人のこだわりを感じます。同じく職人の側面を持つ者どうし、匂いでわかる。

突き出しに、松葉に差した銀杏。厨房には、陶器の七厘が二つのみ。

一貫ずつが、やや小振りの江戸前。しかし、師匠を持たず、あちこち食べ歩き、自身で立ち上げた鮨の技術。寡黙なその表情には、余裕が感じられる。こちらは、自然、背筋がシャンと伸びる。そういうお店の中の駆け引きというか雰囲気を、楽しみたい方には最適と思う。

 

どれもすばらしい一貫であったが、印象に残ったネタは、サヨリ、煮牡蠣、鱈の真子の蒸し鮨、アンキモあたりか。鮪と平目、手巻きの鮪とウニも素晴らしく感じたのだが、最初の三貫は、とくに手が込んでいた。

サヨリは臭み消しによく大葉が使われるが、ここは山椒の木の芽。ツンと鼻に抜ける歯ごたえの魚。

煮牡蠣は、微妙に甘辛く、じんわり広がる苦味、滋味は言葉に出来ない。

蒸し鮨は、タラの白子を鮨飯に混ぜ込み、蒸してあった。和風のクレームブリュレの様相。

アンキモ。言葉がない。それでいてアッサリ。花板としての誇りと自信を感じます。

書いていて、また行きたくなった。この話を、読売テレビの重役のH田さまと盛り上がって話していますと、「このようなお店のことはあまりはなさない方がよいよ。人が詰めかけて味が落ちるから」と。よって、店名は明かさないでおこうかと。当然、ミシュランを取っている。夜で、予算1万円くらい。まあ、近くの方にはわかってしまうなあ。