みなさんは寿司屋で、海老を食べる方ですか?
私はあまり食べない方・・・でした。
だってあまり美味しく感じないんだもん。
しかし、最近方針をかえたというか、変えざるを得なかったというか、変わったんです。ある鮨屋の海老を食べてから。
それは3回目にやってきた。
その店には連続三回通って、柚子の薬味と肝がのった「はげ」
(しっかりとした白身にまったりと肝の脂がさわやかな1貫)とか、「あぶらめ」、「かさご」といった底ものの鮨を堪能していたのです。
あるとき、ついでに頼んだ海老が思いがけず、口の中で強烈なアッパーを口蓋に炸裂させた。
モチモチとしてみずみずしい、しっかりとした海老の味を久しく忘れていた自分に気付かされたんです。
「なっ、なんでこんなに美味しいのこの車海老?」
「実はねかせているからなんです」
「寝かせる?」
その店では裏に水槽があり、おどりでも海老を出してくれるのだが・・。
「ええ。さばいてネタにしてから、何日かね。でも、本当は海老は冷蔵室で、1週間くらいおいて、もうあかん、黒なってきたってくらいのやつが一番うまいんですよ。さすがにそこまでおくと店では出せませんが・・」
まさにさっきまで水中を泳いでいたピクピク暴れる海老よりも、年代もののワインのように濃厚で上品な味なのである。
そうやったんや!!
お肉と同じらしい。タンパク質がアミノ酸にかわるあれですわ。
27歳のその板さん(千崎さん)は、もとから醤油をあまり使わせない。
3種ほどの岩塩を使い分け、柚子やらポン酢やら細工して食べさせる。
貝も殻からバリンと割ってその場でさばいて出してくれる。
「赤貝」やら、「たいらぎ」やら「あわび」やら。
「あわびはね、身をはいだ殻の裏側が真珠みたいに光ってるでしょう?細かい筋がいっぱい入ってるのがたまにおるんです。それが身も柔らかくて飛び切りうまい。そとのカラだけ見て見分けられへんか研究中です」だそう。
「マグロ」を頼んでも中トロくらいのやつが目の前に現れる。蟹は松葉より毛蟹がうまいと皮を包丁で見事にさばき、かに酢にして出してくれる。ウニを頼めば、淡路産にするか北海道産にするか聞いてくれるし、うなぎを頼めば、待てど暮らせど10分ほどではでてこない。
「鰻は皮がパリパリになるまで、あぶるんですわ。皮のところに臭みが残るので」
出された後も、すぐに口に入れると焼けど間違いなしのそれは、エグミなど微塵もない。脂がとろけ、香ばしい苦味を奏でながら、甘く脳震とうを誘う右フックとして舌に頭に響き渡るのです!!!
まさにマウスピースを飛ばしたジェローム・レバンナ状態だ!
丸刈りこわもての板さんが、やせた『沢屋敷純一』に見えてくるのだ。
夜のみ、2時半まで。予算¥5000くらい(安い!銀座ならウン万はする)。
まだできて1年経たないが、常連多しでやや入りにくいかも(いくとかならず見かける顔あり)。
場所、苦楽園。
ここまで。
えぇ?もったいつけるなって・・?!
店名、詳細は南口のサロンにて・・。
だって味が落ちると困るんだもん。
・・・ごめんなさい!!!