頭の中で、緋色のアラームが鳴り続けていた。
長谷川さん、理事長と合流。ホテルの回転扉を押し、エントランスから奥へ。強面のガードマンに促されて階段を下りる。
緋色でデコレートされた極彩色の通路。2度と地上に出られないなんてことになりませんよう・・。
スタンダールの「赤と黒」の結末が頭をよぎるのだ。
それというのも、北野ホテルから一人でタクシーに乗り、五番街とセントラルパークの横のホテルを長谷川さんに指定されて向っていたときだ。
イエローキャブの運転手が運悪くインド人らしきターバンを巻いている。案の定、途中で左に曲がるところで右に曲がったのだ。
「Oh my god!The route you chose is wrong.Turn left! Stop over there!」と思わず声を荒げたわけです。海外では、自己主張ははっきりと行う必要がある。中途半端は逆効果だ。
チップを少なめに渡し、1ブロック歩いて通りを進み、ようやく到着みたいなことがあった後ですから・・。
ようやく広い空間に出て、ホッとしていたらここでもギャルソンに遮られ、横のソファを勧められる。よくご覧いただきたい。ソファの革はクロコダイル。
長谷川さんに、くれぐれもジャケットとネクタイを着用のことと念を押されていたので、スーツとオペラパンプスを持参し、まさに馬子にも衣装。
かろうじて、足は震えていない。
待つこと数分、テーブルに通されて飲み物を尋ねられる。我々のみの貸し切り状態だ。
レイモンド・チャンドラーの探偵小説に出てくるフィリップ・マーロウを気取って、眉間に皺を寄せ「ドライマティーニ。ジンを少なめに」とい言いたかったが、アイスレモンティーにしておいた。
奥の料理が置いてあるブースに案内される。
美しい。
いつか見たハリウッド映画に出てきたワンシーンを想う。
長谷川さんが、事細かにどれが美味しいのか説明してくださる。セロリのサラダが絶品だ。
ギャルソンたちは、お皿を受け取り、給仕してくれる。見た目を損なわないように美しく保つためと思われる。私のチョイスはこれ。
左のヌードルは、日本そば。
ですが、ごま油が効いたニューベルキュイジーヌのパスタな態。美味しい。胸がいっぱいでたくさん食べれない。
しかし、スウィーツなら別腹。再度トライ。
スライスしたメロンでこんもりと土台を作り、彩りも鮮やかにデコレートしていくパティシエの仕事のプロセスを思うのだ。
イチゴとチョコレートの組み合わせは鉄壁だ。右の白いソースのかかったやつが美味しかった。詳細は忘却。すまない。
食後の珈琲を聞かれ、いただくとNYに来て一番と思える美味さだった。
長谷川さん曰く、さっき豆を挽いて落とした直後だからだと。アメリカは作り置きを温め直して出すところがほとんどだそう。そういわれればと・・納得。
この天井だけ見ると、フィレンチェかベネチアかと見まごうばかりのデコレーション。たかだか建国350年ほどの国の歴史や文化への憧れからか。金に糸目をつけず、自らの国に誇りと豊かさを創り出せたのか…
長谷川さん、理事長の後について、地上に生還。空気が美味い。
さすがNYというストリート。長谷川さん曰く、5th アヴェニュー とマジソンアヴェニューの間の長方形のエリアが、一番ニューヨークでも高級な地域だそう。これを東に行っても、西に行っても格が下がるのだそうです。このエリアに、最低価格一泊10万円のホテルが4軒集中しているそうで・・庶民の私には想像できない世界。
ここから、NY在住のTさん(すごく感じのよい方でした)の案内で4店舗見学。勉強になりました。
その後、NYのサロンを数店まわり理事長がマフラーを購入するということで、NYの高級デパート「バーグドルフ・グッドマン」、「サックス・フィフス・アベニュー」などを回りカフェへ。その夜、フレンチのお店でディナー。このお店の接客が素晴らしかった。
一気に書き上げたいところですが、私、NYから風邪なのか、花粉症なのか鼻水とくしゃみが止まりません。困りました。
ということで、7の完結編までお待ちください。
いつも、ご訪問いただき感謝しています。