仕事柄、ほぼ毎日、自身の頭をシャンプーします。
でも、この季節になると自分で洗うことが、極端に少なくなる。
新一年生のシャンプーテストが続くからです。一日に、1回ならいいんですが、今日も2回、シャンプー。明日は、3回になりそうな気配。私のチェックが最終試験なのです。受ける当人だけでなく、指導した先輩たちも真剣です。
いつも、第一にお願いしているのは、「その方の状況、髪質やスタイルに合ったシャンプーをするために、常に自分を変化させれること」。
お客様に直接触れる技術は、「こうせねばならない!」と身体に覚え込ませることから入ります。そうすると、変化させれなくなる。どんどん、型にはまっていく。まさに、ワンパターン呪縛の虜。それしかできなくなってしまいます。
まずは、観察し、髪が濡れていたり、綺麗な状態なら「朝、洗ってこられました?」とお尋ねする。
「朝、シャンプーしてきたの」という答えなら、いつもよりソフトに、しなやかに。
汚れていたなら、頭皮にトラブルがないかチェックして、必要なら2度洗いをしっかりと。
「ごめんなさい。病気でふせっていて3日ほど洗っていないの」
そんな状況なら、3度洗いに変更し、ゴシゴシ、しっかりとシャンプーできなければ真のプロではありません。
そして、
経験値を高め、自分の中にデータを残していくこと。
通勤の電車の中で、前に座っている方々、10人くらいのヘアーを観察。この人は、右わけで、くせ毛。次の人は、カラーをしていて、毛先にダメージあり、細い髪でトップにボリュームが必要。3人目は、剛毛、横に広がり過ぎていて、そろそろカットが必要。4人目は・・。
このようにして、常日頃から、「みる目」を養う。髪を知る。スタイルを覚える。バランスを判断する。似合っているのか考える。自分の中に審美眼を育てる。
プロのシェフは、食材を見ただけで、何十通りものレシピを思いつき、所要時間、盛り付けを想定されます。
鮨屋の板前さんは、魚を見ただけで、鮮度を見抜き、捌き方を理解、どんな保存法、調理法が適しているのかを瞬時に判断される。
パイロットは、まず3か月に一度の定期健診を受け、身体をベストの状態に保つ。機上で、天候のデータをもとに、目的地へのルート、高度、所要時間を判断し、管制官と連絡を取りながらテイクオフ。万が一、病人の発生、エンジンや機体のトラブル、火災やハイジャックがおこっても、冷静に対処。500名以上の命を預かり、無事に地上へ降ろすために、全力で任務遂行できるよう訓練を繰り返しておられるのです。
そうでなければ、プロフェッショナルと呼べない。
よって、明日も、頭皮をヒリヒリさせながら、何度もシャンプーを受けるのです。