先日、伊藤銀次さんがfacebookで取り上げておられたのですが、宝塚の手塚治虫記念館は貴重なモニュメントでいっぱい。地元にこんな施設があるなんて、本当にすばらしい。
数々のヒーローを生み出された、その手塚氏が尊敬してやまないロシアのアニメーターの存在をご存知でしょうか。
ユーリ・ノルシュテイン、その人です。
ご存じない方の方が多いかもしれないですが、ノルシュテインは世界的にもアニメーションの神様と言われている人だそうです。
ノルシュテインの作品は、おもに切り紙を重ねて作られたアニメーションで、アニメというよりは絵本が動き出したような作品で知られています。この時代に、しっかりと遠近法を駆使した作画は見事です。
先日のシネマ部の会で、私もはじめて目にした作品でしたが、調べてみますと世界的に史上最高のアニメーションと讃えられているそうです。第一印象では、タルコフスキー監督の「ノスタルジア」に代表される重たい作品かと思っていましたが・・。
まずは「霧につつまれたハリネズミ」という作品をご覧になってみてください。
この作品は、小さなハリネズミが友達のコグマに会いに、霧の中を旅する12分のストーリーなのだけれど、しっとりと静かな中に温かい光や空気を感じられます。野いちごの蜂蜜煮をお土産に仲良しのこぐまに会いに行くはりねずみ。大好きなお友達のこぐまのために、彼の大好きな、野いちごのはちみつ煮を赤い水玉のかわいらしいハンカチに包んで、こぐまの喜ぶ顔を思い浮かべながら進みます。でも、その大切なお土産を途中でなくしてしまう。一生懸命に探すはりねずみ。そして、最後に見せてくれる互いの友情の証し。
夜への憧景、静かに霧が立ち込めます。静寂の音が聞こえるような気さえします。物語ではありますが、流れていく静かな情景をそのまま静かに味わいたい作品ですね。
霧の中の白馬がとても幻想的だと思われませんか。
ロシアの童話に特徴的な、心の琴線に触れてくるお話。なんともいえない、少し物悲しいやさしさに心身共に包まれます。
「音と映像」でこそ醸し出される、何ともいえない雰囲気。リズム感。井戸を覗き込むふくろうのユニークさ。白い羽虫たちのスピード感。忘れ物に気づいたハリネズミの緊張と動揺、そのあわてっぷり。
霧の中から出て来る正体の知れないものの不気味さ、そして不可思議さ。川の魚に身を任せ、ゆったりと流されていく気分は、なんともユーモラス。他に類を見ません。
「話の話」は、ノルシュテインの最も有名な作品だそうです。反戦など社会風刺を盛り込んで、すごく哲学的。 1度観ただけでは、その奥に隠された主題を読み切れない気がしました。オオカミの意味するものが何であるのか。深いです。↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2487836
その他、ノルシュテイン氏の作品については、以下のURLから。
http://www.comicbox.co.jp/norshtein/film/index.html
シネマ部メンバーのA木くんの奥さまで、独特の空気感をもった「あこやん」の推薦作品。
心洗われる作品のご紹介。ありがとうございました。
以下:ウィキペイアより 手塚治氏との関わりの記述があります。
◆ユーリ・ノルシュテイン(Юрий Борисович Норштейн , Yuriy Borisovich Norshteyn, 1941年9月15日 – )
主にセルロイドに緻密に描き込まれた切り絵を用いる短編アニメーション映画などで知られるロシアの映像作家である。正式名はユーリ・ボリソヴィチ・ノルシュテイン。東欧系ユダヤ人である。
略歴
第二次世界大戦戦時下に疎開先の、ペンゼンスキー州ゴロヴニシチェンスキー地区アンドレエフカ村で生まれた。1943年にモスクワに戻る。家具職人をしていたが1959年に、ソユーズムリトフィルム(Союзмультфильм、Soyuzmultfilm) 連邦動画スタジ付属のアニメーターコースに入学、卒業後ソユーズムリトフィルムで、『せむしのこうま(イワンの仔馬)』や『森は生きている』などのイワン・イワノフ=ワノや、『ミトン』そして『チェブラーシカ』などで知られるロマン・カチャーノフなどに師事する。アニメーションの声優として参加もした。
1987年に行われた、第2回広島国際アニメーションフェスティバルの審査員として初来日した際に、同じく審査員だった手塚治虫からサインを求められ、ベレー帽をかぶったハリネズミの色紙を描いた。
作風 影響等 [編集]
セルゲイ・エイゼンシュテインに強く影響され、モンタージュ技法を好んで使う。好きなアニメーション作家は、フレデリック・バック、ノーマン・マクラレン、川本喜八郎、個人的にも交流の深い高畑勲など。ディズニー作品も、小さな頃から好きである。しかし、CGによって作られたアニメーションを嫌っており、人間の想像力を疎外したものからは、何も生まれないと苦言を呈している。
『老人と海』で知られるアレクサンドル・ペトロフとは、師弟関係にある。
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