「ロスト・イン・トランスレーション」

ロシアに隕石が落ちていくリアルな衝撃映像が、世界中を飛び交うなか、昔に観た映画を見直しました。

 http://youtu.be/t_ifc_FLSsc

 

 

 

 

 

 

 

かたや、世界的に名の売れた俳優で、社会的地位もあり、経済的にも恵まれてはいるが、結婚して25年。子供はかわいいけれど、燃え尽きた感のなかで、生きる意味が希薄になってしまった中年のおじさん。

 

 

 

 

かたや、売れっ子のカメラマンを旦那に持ち、大学を卒業してから、すぐに結婚して、幸せの真っただ中のはずなのに、異国の地で、先の人生に不安を感じ始めてしまうブロンドの美しい女性。

 

 

 

http://youtu.be/yYAS92XPvIM  予告編

 

 

 

幸せな境遇にあるけれど、心は寂しく空虚。少なからず、現代人の多くが感じている閉塞感。「便利」と「豊か」、「愉快」と「幸せ」。そういった、似てはいるが別のライン上にある事象の狭間で迷うふたりのエトランゼを、TOKYOの夜の街を舞台に描いています。人生に迷い、異国の地でコミュニケーションギャップに悩む二人、二重の意味でのトランスレーション喪失がテーマ。

 

 

 

 

印象に残るシーンを。

新宿や渋谷あたりの夜の繁華街に輝く、漢字やカタカナで書かれたカラフルなネオン。

問題な発言は、省略して訳す通訳。CM撮影・写真撮影の業界人のイヤな感じ。

電車で女の裸が出てくるマンガを読んでるサラリーマンや、制服ではしゃぐ女子高生や、うるさいハデな選挙カー。

すでに、現在では陳腐に映る、ゲーセン・ヘンな光線や映像を出すバー・カラオケボックス・病院・パチンコ屋・ヌードのお姉さんがアクロバチックに踊る飲み屋。      

寺院、いけばな、すし屋やしゃぶしゃぶ屋、富士山、京都の風景など、外人が好む昔ながらの日本の風景。

 

エレベーターに乗ると周りは、メガネのサラリーマンのおじさんばかりで、ビル・マーレイが一つ頭が抜け出ているというシーンは秀逸。「SOMEWHERE」でも、書かせていただきましたが、生い立ちからか、ソフィア・コッポラは、裕福な人たちの空虚感を描かせるとうまい。

すこし以前の東京を、見直すという点からも、おもしろいと思います。ご覧でない方は、ぜひ。

 

 

ロスト・イン・トランスレーション

「ヴァージン・スーサイズ」のソフィア・コッポラ監督が、自身の東京での経験を下敷きに描いたコメディ・ドラマ。異国の地・東京で出会ったハリウッド俳優と若いアメリカ人の人妻が、互いに心を通わせていく中で次第に孤独や疎外感を癒していく姿をユーモラスかつ繊細なタッチで描く。第76回アカデミー賞脚本賞受賞。ビル・マーレイが哀愁を帯びた中年男を好演、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞ほか数々の演技賞を獲得。共演は「ゴーストワールド」のスカーレット・ヨハンソン。
 ウィスキーのコマーシャル撮影のため来日したハリウッド・スターのボブ。彼は滞在先である東京のホテルに到着すると、日本人スタッフから手厚い歓迎を受けるが、異国にいる不安や戸惑いも感じ始めていた。さらに、息子の誕生日の不在を責める妻からのFAXが届き、時差ボケと共に気分が滅入ってしまう。一方、同じホテルにはフォトグラファーの夫ジョンの仕事に同行してきた若妻シャーロットが滞在中。彼女は新婚にもかかわらず多忙な夫にかまってもらえず、孤独を感じていた。ホテルで何度か顔を合わせたボブとシャーロット。2人はやがて言葉を交わすようになり、いつしか互いの気持ちを分かち合うようになるのだった。

 

 

◆この作品と少し似た状況の思い出が。

大学最後の年に、就職試験で東京に行った時のことを、いまでもハッキリと覚えています。最終面接の後、ホッとして友人と代官山で遊び、その帰りにひとりで原宿の喫茶店へ。後ろの席に座っていた関西弁の女の子と知り合いになり、夕食をともに。神戸に実家のある、その早稲田大学の女子学生からの、「明日の朝までいれば」的なお誘いを振り切って、八重洲口から新幹線に飛び乗りました。ホームで見送ってくれて、手を振る彼女の姿を、今でも懐かしく想い出します。

 

 

 

 

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