旅に出たとして、どこに向っていて、現在、どのあたりにいるのかわからなければ、どうでしょう?
新一年生の勉強会。技術や接客術も指導しますが、それより先に「立ち位置」を知らせることから。ベース作りですね。
まず、紙と鉛筆を出してもらい、次の計算をしてもらいます。
365X70=25550
365X20=7300
25550ー7300=18250
もうおわかりだとは思いますが、人生、最初の5年と最後の5年は人の世話になります。計算外。二十歳の彼女たちが、人生、25550日のうちの7300日をすでに消化して、残りが18250日であることをお知らせすることから始めます。
それでも、なかなか実感できない場合もありますので、記憶のある幼稚園の時代から現在までを振り返ってもらいます。その15年の時間の長さを理解した上で、その時間がいまから経過すると35歳。そのあたりがマラソンでいう折り返し地点。
若いときは全体像が解らない。まだまだ、先が長い。無限に続くように勘違いしてしがちです。
人生が列車の旅だとして、生まれてから、両親が走らせる列車に乗っている状態で、どこに向っているのかなど気にもかけない。家族の庇護のもと、自分のことだけに没頭する。
ところが、二十歳を境に、「そろそろ、列車を降りて自分の目的地を決めて、自分で汽車を走らせよ」と両親から申し渡されるのです。
時間の物差しができること、立ち位置の理解で、すこしでも感じてもらう。たとえ話を繰り返し行うのです。
ここまで話しても、まだピンとこない子も存在します。
そんな場合、学生時代の夏休みを例に出す。7月20日から8月31日までも40日。
彼らが過去にどんな夏休みを過ごした経験があるかを話してもらいます。
7月中に宿題を済ませ、バイトをして資金を貯めて8月から家族、あるいは友人と旅行やキャンプや海水浴や花火大会などなど順次、計画をこなし、8月最後まで余裕で楽しく過ごす夏休み。
朝昼逆転してダラダラと無秩序に過ごし、最後の3日で宿題を大慌てでこなした最低の夏休み。
どちらがよいか考えてもらうのです。
そして、その夏休みは長い短いはあっても、人生と同じだよとお話しします。
技術や接客の勉強に入る前に、立ち位置を知らせる。そうすることで、学ぶ姿勢や意欲が変わります。自分がどの辺りにいるのかを理解すると、歴然と目の輝きが増してくるのです。
ここから、「何のために働くのか?」、「どうしたら幸せになれるのか」、「お金の持つ意味」などなど、話しは続く訳なんですが、最初に「考え方」を伝える作業を徹底して繰り返す。
「鉄は熱いうちに打て」。4月は慌ただしく過ぎていきます。
いつも、お立ちよリいただき感謝しています。