無数の逸品に囲まれて

そのお屋敷は、物で溢れていた。

 

 

朝一番、クルマを走らせて待ち合わせの場所へ。玄関への階段を登ると、庭の隅やいたるところに、さまざまな形状の陶器の壺が目に付きました。愛犬ポッポが、廊下をトコトコと。愛くるしい笑顔でお出迎え。

 

石材、チーク、コルクなどの建材での注文建築。部屋と部屋の間には多数の高低差がある。この家の主人は、もうすぐ、この家を去られるのです。ご高齢で、利便性に優れた西宮の駅前の新築の高層マンションに引っ越されるのですね。引っ越しのために、書籍や絵画やベネチアン・グラスのランプ、北欧の作家の名作の椅子、その他、収集家ならではのもので溢れていました。

 

 

なかでも、ガラスのチェストに整然と納められた模型たち。1000分の1のスケールの戦前の連合艦隊。ゼロ戦やはやぶさなどの戦闘機、米・独の往年の戦車群。すべて金属製のミニチュア。そのほかにも、ベルナール・ビュッフェの絵画が廊下や応接間、階段の踊り場などに多数。地下のオーディオルームには、ブュッフェのサーカスシリーズのピエロ、ロートレックのポスターが壁に飾られ、床には整理されたライカに代表されるカメラたちが無数に。日本刀も、一時期には多数持たれていたそうです。

←ケースの中身はすべてカメラ

 

  ←三輪良平

 

2年前から耳が、遠くなられたとおっしゃるこの家の主は、言葉少なにお話を聞かせてくださいました。

ひとは、そのときどきの夢を追い求め、懸命に働く。その夢が、幼いころからの憧れの品々であったのでしょう。それを得たときの喜びは、いかほどのものであったろうか。けれど、ヨーロッパの最高の指揮者とオーケストラが奏でる名曲を、JBLやタンノイのスピーカー、往年のハイエンドの名器が、どんなに素晴らしい音質、大音量で響かせても若き日に得た感動は、もう心に届かないと・・。

健康は、やはりすべての基本なのですね。そして、その夢が、子供の成長や人々の感動や笑顔であったなら、それは未来永劫に伝えられていくと・・。

BOOKOFFの方が、訪ねて来られたり、荷物の運び出しであわただしくなってきたので、御礼を申し上げ、早々にその場を辞しました。かえりに、直径が50cmほどもある見事な備前と青磁の壺をもたせていただきました。感謝。

 

 

◆ベルナール・ブュッフェ

1928年 ベルナール・ビュッフェはパリに生まれる。
1943年 夜間講座に通いデッサンを学ぶ。
1944年 エコール・デ・ボザール入学、ナルボンヌに師事する。
1947年 アンデパンダン展、サロン・ドートンヌに出品。初個展を開く。
1956年 日本初のビュッフェ展「デッサンと版画」開催(神奈川県立近代美術館)。
1963年 「ビュッフェ展、その芸術の全貌」開催 (国立近代美術館)。
1973年 静岡県に「ベルナール・ビュッフェ美術館」開館。
1999年 死去。

 

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