日中は、まだまだ日差しがキツイけれど、どこか光に柔らかさを感じるのは私だけではないだろう。
大阪のサロンオーナー・Iさんと、T理事長を後部座席に乗せて山道をひた走る。うちのサロンディレクター・ツージーの実家がある宝塚西谷を越え、地図でいうと千刈水源地の上あたりを目指す。山を抜けると黄金色に色づき始めた田んぼが広がり、沿道には色とりどりのコスモスや彼岸花のくすんだ朱色が目に美しい。
沿道に小さな立て看板があり、横道にそれろと教えてくれる。舗装されていないあぜ道を登ると、その蕎麦屋「山獲」が林の麓に見えた。こんな田舎だからと甘く見ていた。驚くことに、駐車場はほぼ満車。
遠方から移築された古民家。横庭にはアライグマや烏骨鶏の小屋がある。
暖簾をくぐると、お客で溢れていた。それも、女性客が多いではないか。ちょっとびっくり。古民家にしては、天井が思い切り高く、扇風機があるだけですが、室内にほとんど焼き物の染み付いた匂いがしない。開け放した縁側から、爽やかな風が吹き抜けるせいか。
あらかじめ神戸のサロンオーナー・Y田さんから情報を得て(感謝です)、朝方に電話していたので、名前を告げると、掘りごたつになった心地いい席に案内していただけた。ラッキー!
日本の社長はみんな忙しい。
さっそくメニューを見てジビエ(鹿肉、猪肉、地鶏)のセットとそれぞれに蕎麦をオーダー。私はおろし蕎麦を所望。待つこと5分。まずは赤く燃える炭が入れられ、続いてジビエと野菜。
焼き上げた鹿肉を恐る恐る口に入れると、広がる野生の味。しかし、一切臭みがない。続いて食べた猪肉にも、あの独特の匂いがしないのだ。これは後で店主に伺ったことですが、自ら山に分け入り、猟犬に獲物を追わせ、谷底に追い込むのだそう。川の流れに猪が入ればしめたもの。動きが鈍くなった猪の頸動脈を狙って引きがねを引くそうです。たちまち紅く染まる清流。そうすることで無駄な血を流さず息絶える。そしてすぐに捌きに入ることで臭みが出ないそうです。なるほど。
滋味が舌の上で溢れ、しっかりとした歯ごたえが、自然の中で生きてきた証を伝えてくる。
命の雫をいただくなんて・・ワイルドだろ〜!
蕎麦は、蕎麦の表皮をそのまま擦り込んだもので褐色。十割にありがちなパサパサした感じはないです。太いので洗練さには欠けますが、お味は豪快。鮫皮のおろしとわさびが一本が付いていてスリスリ。本ワサビより、辛味大根の辛味が脳天を突き抜ける。秋の自然を満喫しながら、自然からの恵みが体に染み渡っていく。幸せだ!
帰り際、店主が出てこられご挨拶。
若い頃からやんちゃを繰り返し、土建屋の社長に。社員の若い衆に、思い切り蕎麦を食べさせたくて、山形の蕎麦屋に修行に出たという変わり種。この地で12年も営業されていると聞いて、蕎麦好きの私にこのお店情報が入らなかったのが不思議です。
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兎にも角にも、ジビエに興味がおありの方には嬉しいお店。わざわざ山道を車で行く価値はあり。
これからの季節は、猪鍋がメインになるそうです。山椒ばかり利かせた味噌仕立てでなく、白鍋で振舞われるという猪鍋は絶品だそう。再度訪れることを約して下界へ。
T理事長、Iオーナー、お付き合いありがとうございました!
いつも、お読みいただき感謝しています。