先日、久しぶりに鮓を食べにいきまして、このブログを始めさせていただいた2007年頃に、鮓の話を書いたことを思い出しました。
近所の鮨屋「鮓千」で聞いた話。車海老を、さばいてボイルしてから数日おいて、ネタにするといった内容。牛肉と同じで、タンパク質がアミノ酸にかわるというアレですね。タンパク質は、時間とともに熟成していく。大将のお話では、「黒くなる寸前くらいが、一番、うまい。お客様には、出せないけど」って。
これと似た話は、先日、ご紹介しました映画「二郎は鮓の夢を見る」でも。築地の鮪屋のくだりで、小野二郎さんがマグロの話になると目を輝かせて、「サクにしてから10日は置かないと美味しくならない」というお話をされていました。
ネタが新鮮な方が、鮓は旨いはずという既成概念を見事に打ち破られた瞬間ですね。江戸前の鮓は、ネタの新しいものが入りにくいところを、工夫で美味くするということだけでなく、より旨味を引き出すという経験に基づいたレシピが生きているという証です。6年連続、ミシュラン3つ星の世界最年長シェフのお話ですから、間違いはないと。
ウンチクはこのくらいにして、そのときに食べた、とろける美味さのネタを。まずは、上の中トロから。二郎さん曰く、鮪は大トロの部分は、油の固まりなので、それほど差がわからないと。深紅からピンクへのグラデーション。赤身から中トロまでの部位が、味の差が出るところなので、鮨屋の善し悪しは、その辺りで一番わかるそうです。
個人的には、赤身に一番、滋養が含まれている気がしまして、大好きなんです。この日も、赤身を食べてから中トロへ。淡白な脂が舌の上で静かにワルツを踊りだします。
牡蠣。レモン酢で。生臭さなど微塵もない。亜鉛と鉄分などのミネラルの固まり。
穴子。魚はその部位で美味さが、かわりますよね。脂が一番のってるのは腹のあたり。煮込んだ後に、焼いてあぶられたその身は、言葉のまま、滑らかに溶けてなくなりました。
手間ひまの末に、仕立てられた芸術品のような鮓を、食べられる幸せを想うたびに、日本人であることのありがたみを、再認識させられるのです。
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