絶望を笑いに変える芸人たち

「笑う」ということができる動物は、人間だけだといわれる。

 

 

チンパンジーやゴリラやオランウータンなどの霊長類は、取っ組み合いや、くすぐり合うことで笑い声をあげるらしいですが・・・純粋に人間の「笑い」とは別のものでしょう。

 

「笑い」を考察したり、分析することは本当に難しい。「笑わす」ことと「笑われる」ことの立ち位置とか。

 

「普段、高いところから説教を説いている校長先生が、つまずいた拍子に、カツラが取れて、慌てる」ということの中には、真面目で偉い人が、実は自分たちと同じ存在、滑稽で愚かな人間であるという構図の「ズレ」が笑いを生じさせたといえる。

怒らせることや、嘲笑されることは、比較的、簡単にできるけれど、笑わせることには理論や技術が必要ですから。

 

そんな一筋縄ではいかない「笑い」を職業にしている芸人さんたちの生き方を、文章に起こしているライター「てれびのスキマ」こと戸部田誠さんの「有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか」という本を読みました。

 

この方、「タモリ学」という本でもタモリさんの魅力をバッサリと一刀両断されています。

 

 

 

 

有吉弘行だけでなく、一時代を築いているダウンタウン、ナイナイの矢部、爆笑問題の太田、オードリー若林、オリエンタルラジオ、マツコ・デラックスなどの半生を振り返りつつ、絶望を笑いに変えているその構造を分析した内容。

 

「笑う」という行為そのものが見世物になることに、いち早く気付いたダウンタウン。

「ニヤニヤ笑う」自分流のツッコミをみつけた、矢部浩之。

 

・・なんていうコンテンツにも興味を惹かれましたが、私的に1番興味があったのは、やはり有吉とマツコ。

 

かたや、アイドルとして電波少年でブレイク後の没落。かたや、異形の極致としての病み。両者ともに、「人に蔑まされる挫折」という地獄から這い上がった、その「笑い」の捉え方、「批判性を孕んだ毒」を売り物にできる立ち位置に興味があったからです。

 

人生、晴天の日ばかりではない。

 

ましてや、人を批判しながらの芸風。どん底を経験したあとに会得した、「反発をかわしてしまう」強さの秘密は。

 

ご興味のある方だけ、どうぞ。

 

いつも、お読みいただき感謝しています。 

 

 

 

 

◆てれびのスキマ

1978年生まれ、いわき市在住。お笑い、格闘技、ドラマなどをこよなく愛する、新進気鋭のTVっ子ライター。メールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』『週刊SPA! 』「日刊サイゾー」で連載中。『splash!!』(双葉社)、『タモリ読本』『80年代テレビバラエティ黄金伝説』(ともに洋泉社)、『TV Bros.』(東京ニュース通信社)、『お笑いラジオの時間』(綜合ムック)にも寄稿する。近著に戸部田誠名義で『タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?』(イースト・プレス)がある。

 

 

http://youtu.be/Bm00zwI0vog

 

http://youtu.be/IvRdOhxlCN0