「おおかみこどもの雨と雪」を劇場鑑賞

 大好きな細田守監督作品を、西宮ガーデンズシネマで観てきました。

好評を博した「時かける少女」「サマーウォーズ」に続く最新作ということで注目と人気が集まっていることを予想していましたが、ロードショー開始から日がたっているし、木曜日の昼間ということもあり、私を含め10名ほどのお客さんの入りでした。YテレビのH田さま、いつもほんとうにありがとうございます。

 

「おおかみおとこ」と恋に落ち、その子供を産んだ花という女性の物語が、雪(長女)の語りで進行していきます。いささか突飛な設定ですが、描かれているのはオーソドックスな「母と子」の絆と、「家族」の在り方です。2人の子供を遺し、早々と急逝してしまった父親。遺された母親の花は、ひとりでの子育てを余儀なくされてしまいます。このあたりから、すでにウルッときはじめてしまてましたね。普通に生まれた子供ならまだしも、おおかみとの間に生まれた、人狼。どうやて育てていけばいいのか、主人公でなくても途方に暮れてしまい、社会問題化しつつあるネグレクト(育児放棄)に至ってもおかしくない。

 そんな辛い状況にも、負けない母親としての逞しさには泣かされてしまいます。劇中の設定では、花は大学生。普通の母親以上の苦労を、花は強いられてきたのだということが雪の言葉で語られていきますが、その生活ぶりにほんとうに頭が下がる。幼い子供やワンコが部屋にいればどうなるかの描写は本当にリアル。花は何度も、何度も壁にぶち当りますが、弱音を吐くこともなく、遺された2人の子供を立派に育て上げることを心の支えとして奮闘していきます。ですが、その苦労の連続を楽しんでいるかのように、不思議と悲惨な感じはしない。そのあたりは、細田アニメの真骨頂かもしれません。

可愛いのは最初のうちだけで、グズったり、わめいたりと、走り回ったり、遠吠えしたりと、想像以上のたいへんさかと おおかみの血を引いているだけにジッとしていることがまずないし、たいていは女の子の方が手がかからないはずですが、この姉弟は反対で、姉の雪の方が数段おてんば。

やがて、人目に付かない場所ということで、親子は亡き夫が育った場所であろう田舎へ引っ越します。そこでもまた通常の子育て以上の苦労を、花は強いられるのですが、そんな彼女を助けてくれるのが、田舎の人たちの優しさ。田舎のコミュニティの「絆」が、これまた素晴らしく描かれています。

昔から「親がなくても子は育つ」といいますが、子供はたくましい。性格が反対の姉弟は、成長するに従って別々の道を歩むことになり、どちらも親元を離れてゆくことになるのが悲しくもありますが、それが当然の自然の摂理。人狼とはいえ、野生のオオカミの親子ですから、なお更のこと。人間社会と折り合いをつける雪、野生の世界を生きることになる雨。2人を立派に育て上げた花の笑顔は、観ている私達に清々しい感動を与えずには置きません。

細田監督は、キャラの表情の描き方が抜群にうまい。満面の笑顔とか、ちょっとテレくさそうな表情とか、心の機微が手に取るように伝わってくる。それを見ているだけでも幸せな気分になってくるのですね。特におじいさん、おばあさんの表現の仕方が他に類を見ないリアルさ。そのあたりが最大級の魅力なのでしょう。

もうひとつ、強烈な印象を残すのが風景の描写。おそらく実写をCG化したものなんじゃないかと思いますが、森を走っていくシーンをオオカミの目から描いたものには驚かされます。里山の緻密な風景描写にも、日本の自然のすばらしさが凝縮されています。

花の声優は、宮崎あおいさん。この花という役は、彼女にドンピシャにはまっています。花を助けてくれる頑固なおじいさんには菅原文太さん。朴とつで変わり者の役をやらせれば、この方以外には考えられないでしょう。

子育てに追われてつらくなっているお母さん、ご両親にわがままばかりいっている子供たち、安易に田舎暮らしに憧れているそこのあなた、ぜひぜひ、ご覧ください。超オススメです。

 

おおかみこどもの雨と雪

 

大学生の花は相手が“おおかみおとこ”とは知らずに恋に落ちてしまう。しかし、“おおかみおとこ”であることを打ち明けられても花の気持ちは変わらなかった。やがて2人の間には、人間とおおかみの2つの顔を持つ“おおかみこども”、姉の“雪”と弟の“雨”が生まれる。そして雪と雨が人前でおおかみにならないよう注意しながら、家族は都会の片隅でひっそりと、しかし幸せに暮らしていた。そんなある日、父親の“おおかみおとこ”に突然の死が訪れる。花は悲しみに暮れながらも、子どもたちを一人で育てるために決意を新たにし、緑豊かな山あいの村へと移り住む。大自然の中でのびのびと成長していく雪と雨。だが、2人には重大な選択のときが迫っていた。

 

 

 

 

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